整備項目一覧
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燃料系
Fuel System
インジェクター交換(4本・リビルト)
どんな故障?
燃料を霧状に噴射する装置を4本すべて交換。走行距離10万〜15万キロ超で、排ガスが臭くなったり、エンジン音がガラガラ(ノッキング)なったりした場合に実施。
必要な部品
- ・リビルトインジェクター4本
- ・ヘッドカバーガスケット
- ・ノズルホルダーシール
必要な工具
- ・トルクレンチ
- ・SST
- ・診断機(必須)
重要: インジェクターのIDコードをECUに登録必須。診断機(Toyota Techstream等)が絶対に必要。
サクションコントロールバルブ(SCV)交換
どんな故障?
信号待ちで「ブルルン」とエンジン回転数が勝手に上下する(ハンチング)場合や、エンストしそうになる場合。ハイエースディーゼルの定番トラブル。
必要な部品
- ・SCV本体キット
- ・パーツクリーナー
- ・ウエス
必要な工具
- ・六角レンチ5mm
- ・10mm/12mmソケット
- ・OBD2診断機
作業手順
吸排気系
Intake & Exhaust
ターボチャージャー交換(リビルト)
どんな故障?
エンジンの排気ガスで「風車」を回し、パワーを出す部品。「キーン」「ヒュイーン」という異音、加速不良、白煙が故障サイン。
必要な部品
- ・リビルトターボ(約5〜8万円)
- ・ガスケットキット
- ・銅ワッシャー
必要な工具
- ・ソケットレンチセット
- ・エクステンションバー
- ・浸透潤滑剤(大量!)
最大の難関: 排気管のボルトが錆で一体化。折ると走行不能でレッカー必須。初期潤滑を忘れると新品が即座に焼き付きます!
EGR・インテークマニホールド洗浄
エンジンの動脈硬化を治す!
ディーゼル特有の「煤」が配管にヘドロのように溜まる。加速が鈍い、燃費悪化、黒煙が出る場合に必要。
約10万円の価値: 作業の大半は「泥臭い洗浄」と「部品脱着」。整備士が真っ黒になって一日作業する手間賃です。
作業手順
DPR洗浄(施工のみ)
DPRとは?
排気ガスの煤を捕集するフィルター。「DPRランプ」点滅・点灯、警告音、出力制限が詰まりのサイン。洗浄は交換前の延命措置。
ケミカル注入洗浄
約2〜3万円。マフラー付けたまま洗浄剤注入。
マフラー脱着洗浄
約4〜6万円。取り外してドブ漬け+高圧洗浄。
注意: アッシュ(オイル由来の燃えカス)は溶けません。洗浄してもすぐ詰まる場合はDPR交換が必要。
排気絞り弁の清掃・交換(P047F)
どんな部品?
エンジンの暖機を早めたり、DPF再生時に排気温度を上げたりするために、マフラーの途中(フロントパイプ付近)にある「弁(バタフライバルブ)」です。電子制御でパタパタと開閉し、排気の流れをわざと詰まらせてエンジン負荷を高める役割をします。
故障の症状(P047F)
- チェックランプ点灯:P047Fのエラーコードが出る
- DPF再生が終わらない:排気温度が上がらず再生モードが続く
- 出力低下:弁が中途半端に閉じたまま固着し走らない
- 異音:下回りから「キーキー」という作動音
原因
排気ガスに含まれる大量のカーボン(煤)が弁の軸にこびりつき、動きが悪くなって固着。また、アクチュエーター(モーター)内部のギア欠けによる作動不良もあります。
作業時間
- ・清掃:約1〜2時間
- ・交換:約1時間
- (ボルトが素直に外れれば)
DIY可能度
ジャッキアップさえできればDIYでも挑戦しやすい部類!
必要なもの
ジャッキアップ
安全に車の下に潜れるようにします。場所は運転席の下あたり、マフラーの途中にある「四角い箱(アクチュエーター)」がついた部分です。
リンクの切り離し
アクチュエーター(モーター)と弁を繋いでいる「ロッド(棒)」のナットを外し、手で弁が動くか確認。ガチガチに固まって動かなければ、煤による固着が確定です。
洗浄剤の噴射
弁の軸部分(外側から見える隙間)に、エンジンコンディショナーと潤滑剤を交互に吹き付けます。
リハビリ(重要!)
プライヤーなどで弁の軸を掴み、「グリグリ」と強制的に動かします。最初は硬いですが、潤滑剤を吹いては動かし、を数十分繰り返すと、徐々に「パタンパタン」とスムーズに動くようになります。
ポイント:完全に抵抗なく、指一本で動くようになるまで根気よく続けます。
組み戻し
ロッドを繋ぎ直し、エンジンをかけてエラーを消去します。
必要な部品・ツール
新品:4〜5万円 / 中古・リビルト:1.5〜3万円
パイプの前後に挟むパッキン。再利用不可
錆びて再利用できないことが多いのでM10新品を用意
カプラー取り外し
アクチュエーターに繋がる電気配線を抜きます。
フランジボルトの取り外し(最難関)
弁の前後のマフラーパイプを繋いでいるボルト(通常2本×2箇所)を外します。
注意:ここは非常に高温になるため、ボルトが錆びて痩せていたり、一体化しています。潤滑剤をたっぷり吹き、場合によってはサンダーで切断して外します。
本体の摘出
ボルトが外れれば、知恵の輪のように本体が外れます。
新品取り付け
新品のガスケットを挟み、新しいバルブAssyを取り付け。ボルトには「スレッドコンパウンド(焼き付き防止剤)」を塗っておくと、次回外す時に楽です。
初期学習
交換後、診断機を使ってエラーコードを消去します。自動的に全開・全閉位置を学習する場合が多いですが、診断機で「初期化」が必要な車種もあります。
プロのアドバイス・総評
P047Fが出ても、いきなり5万円の部品を買うのは早計です。7割くらいは「外部からの潤滑・洗浄リハビリ」で直ります。まずはラスペネ片手に車の下に潜り、ロッドを外してグリグリしてみてください。
清掃時、洗浄液をかけすぎてアクチュエーター(黒いプラスチックの箱)の中に液体が入ると、中の基盤やモーターがショートしてトドメを刺してしまいます。箱部分には直接かけないよう注意してください。
この弁が壊れたまま放置すると、DPF再生が正常に行われず、最終的にDPF自体が詰まって30万円コース(DPR交換)に発展します。エラーが出たら放置せず、早めの対処が財布を守ります。
💡 この作業はジャッキアップさえできればDIYでも挑戦しやすい部類です。まずは「固着した弁のリハビリ」から始めてみることを強くお勧めします。
DPR交換(重整備・リビルト)
洗浄で直らなかった場合の最終手段
フィルター装置を丸ごと交換。リビルト品(約12万円〜)か新品(約30万円〜)で金額差あり。
詰まりの原因: 汚れたオイルや規格外オイル(DL-1以外)の使用。オイル交換をサボるとDPR寿命が縮みます!
エンジン
Engine
タイミングベルト・WP一式交換
これは時限爆弾です!
ベルトが切れるとピストンとバルブが衝突し、エンジン全損(廃車コース)。「T-BELT」警告灯が点灯したら交換の合図!
交換部品キット
- ・タイミングベルト
- ・オートテンショナー
- ・ウォーターポンプ
- ・LLC冷却水
部品代:約1.5〜2.5万円
必要な工具
- ・ソケットレンチセット
- ・22mmソケット
- ・トルクレンチ
- ・スクレーパー
位置合わせが命: クランクの「合いマーク」を正確に合わせないとエンジン破損。1KDは構造が素直で初心者挑戦に人気!
駆動系
Drivetrain
フロントハブベアリング交換(通常)
どんな症状?
走行中に「ゴォー」「ウォーン」という唸り音。速度が上がると音も大きく。放置すると車輪ロック or 脱落の大事故に!
DIYは不可能: 油圧プレス機(数トン)がないとベアリングを抜くことも入れることもできません。約10万円の半分以上は技術料。
早期発見が鍵: 音が小さいうちに交換すれば「通常」料金。無理して乗り続けて固着すると下の「43万円コース」に!
フロントハブベアリング交換(固着時)
なぜ43万円もするの?!
長年の錆や焼き付きで部品同士が溶接されたように一体化。20トンプレスでもビクともせず、ナックルごと交換に。
交換部品(足回り全交換)
- ・ステアリングナックル(左右)
- ・フロントハブASSY(左右)
- ・センサー類すべて
部品代だけで20〜30万円...
回避策: 中古の「ナックル+ハブセット」を解体屋で探せば、持ち込みで10〜15万円に抑えられる可能性!
ATミッション載せ替え(リビルト)
何をする作業?
エンジンの回転をタイヤに伝える変速機(オートマチック・トランスミッション)を丸ごと交換する作業です。ハイエースのオートマは非常に頑丈ですが、過積載やメンテナンス不足(ATF未交換)で酷使されると、内部のクラッチやギアが摩耗し、最終的に動力が伝わらなくなります。
これが出たら末期症状!
- 滑り:アクセルを踏んでもエンジン音だけが「ブォーン」と上がり、スピードが出ない
- 変速ショック:ギアが変わる時に「ドン!」という大きな衝撃
- 変速しない:いつまでも3速固定などになる
- バックしない:Rに入れても車が動かない
費用の内訳(約31万円)
難易度:超上級・設備必須 ★★★★★
- ・ミッション本体は50kg〜80kg近い鉄の塊
- ・リフトで車を持ち上げ、「ミッションジャッキ」という専用の支えがないと、下敷きになって命に関わります
- ・作業時間:1日〜数日(プロでも朝から夕方までかかる)
必要な部品
- ・リビルトATミッション
- ・ATF 10〜20L
- ・(トヨタ純正オートフルードWS等)
必須設備
- ・リフト(必須)
- ・ミッションジャッキ
- ・1mエクステンションバー
周辺部品の取り外し
バッテリーのマイナス端子を外す → プロペラシャフト(動力を伝える長い棒)を外す → スターター(セルモーター)を外す → ATFクーラーホースを切り離す(オイルが出ます)
トルクコンバーターの切り離し(難所)
エンジンとミッションの間にある「トルクコンバーター(ドーナツ型の部品)」とエンジンを繋いでいるボルト(通常6本)を、小さな隙間から回して外します。クランクを回してボルト位置を合わせながら、1本ずつ外す地味で大変な作業です。
ミッション本体の分離
ミッションジャッキを掛けて支える → エンジンとミッションを結合している太いボルト(ベルハウジングボルト)を全周外す ※上の方のボルトは手が入らないため、1mくらいの延長棒を使って回します
ミッション下ろし
ミッションをエンジンの反対側へスライドさせて引き抜く → バランスを崩すとミッションが落下して大事故に!慎重にジャッキを下げて車体から出します
載せ替えとATF注入
新しいリビルトミッションをジャッキに乗せ、逆の手順で組み付け → ATF注入と油面調整:診断機を使って適正な油温(35℃〜45℃)にし、オーバーフロープラグから溢れ出る量で厳密に調整。ここを適当にやると、せっかくの新品ミッションがまた壊れます。
プロのアドバイス・総評
他の項目(オルタネーターやラジエーター)はDIYをお勧めしましたが、ミッション載せ替えだけは「設備(リフト)」がない限り不可能に近いです。寝板で潜ってやる猛者もいますが、ミッションがお腹の上に落ちて怪我をするリスクが高すぎます。
安すぎるリビルト品(10万円以下など)は、中身の清掃だけで部品交換していない「なんちゃってリビルト」の場合があります。信頼できる「リンク品(メーカー系)」や保証付きのものを選んでください。
こうならないためには、「4万キロごとのATF交換」が最強の予防策です。「無交換でOK」と言われることもありますが、長く乗るハイエースなら交換推奨です。
💡 31万円は高額ですが、これを直せばさらに10万キロ、20万キロと走れるようになります。エンジンが元気なら、投資する価値はある修理です。
電装系
Electrical
オルタネーター交換(リビルト)
車の充電器!
エンジンで電気を作る「発電機」。「ヒュイーン」という異音、バッテリー警告灯が故障サイン。壊れると数十分でエンジン停止!
絶対厳守: バッテリーのマイナス端子を必ず外してから作業!ショートさせると車両火災の危険。
空調・冷却系
A/C & Cooling
エアコンコンプレッサー交換
エアコンの心臓!
冷媒を圧縮して循環させるポンプ。冷風が出ない、ガラガラ音、焼き付いてエンストする場合は交換が必要。
法律違反: エアコンガスの大気開放は禁止(フロン排出抑制法)。電装屋でガス回収してから作業。
真空引きが超重要: 配管内の空気や水分を完全に抜かないと、すぐ壊れたり冷えが悪くなります。
ラジエーター交換(Assy)
エンジンの熱交換器
冷却水を走行風で冷やす装置。甘い匂い、地面に赤/緑のシミ、水温計がH振り切りが故障サイン。オーバーヒートでエンジン焼き付き!
ハイエース特有: リアヒーターまで長いパイプが伸びているため、エア抜きに30分〜1時間かかります。